認知行動療法 行動療法;人が何らかの行動を起こすのは、親のモデリングや、学んできた学習課程がある。そこから、再び望ましい行動にするためにも、望ましい行動パターンを意図的に学習していけば、問題行動はなくなると考えた。 ⇓ ⇓ ⇓ 【認知行動療法】 人が何らかの問題行動を起こしているのには、意味があり、目的や思い込み・信念(認知)などが原因している。そこから、望ましい行動変容のためには、単に行動を変えるだけでなく、その行動のもとになっている、認知(思い込み・信念)を変えていくことが必要であると考えた。 『認知』というものが人間の行動や、心を導く重要な要素となる。つまり感情や行動というものは、人がどのような『認知』を持っているかによる。 ⇓ 人間にはそれぞれ、〈独自の解釈;認知のフィルター〉を持っており、 それが歪んでいると、不安を感じたり、うつ的になったりする。 ⇓ この『認知プロセス』を変えることにより、問題行動も変容していくのが ⇓ 『認知行動療法』 【認知行動療法の実際(一例)】 『共同経験主義』・・・クライアントとセラピストの共同作業。 ▶具体的な内容 ①認知的介入 ・治療の論理的根拠を示すこと(説明) ・否定的自動思考の発見と、その問題点を見出す。 ・その思考の歪みの根底にある非適応信念や仮説を発見し修正する。 ※そのためには、CLの日常生活の細かいチェックが必要であり、その為に特に『宿題』を果たすことが重要である。 ②行動療法的介入 ・活動スケジュールの作成 ・達成感と快感の評価 ・段階的課題作成 ・ロールプレイ 【セッションの実際(一例)】 ▶セッション ・週に1度か2度の面接。 ・およそ15回から25回くらい。 ・他の心理療法に比べて構造化され指示的 ・問題の焦点は現在の適応の能力 ▶療法の本質 ・クライアントの「認知の歪み」の修正に向けられる ▶修正の治療対象 ・『否定的自動思考』 ⇒CLの施行に熟考なく飛び込んでくる“習慣的思考” ⇒当然知らぬ間に“否定的感情”をもたらし、うつ的気分にさせる。 《無意識・衝動的な思考》 ▶否定的自動思考の元にあるもの 幼児期から次第に形成される、スキーマ(Schema)・仮説・信念などと呼ばれるもの。これらも治療の対象になったり、予防の対象になったりする。 ▶有効な治療の対象・症状 主に『うつ病』や、パニック障害・不安障害といった従来の『神経症性障害(神経症)』や『強迫性障害(強迫神経症)』、または『身体表現性障害(心身症)』にも適応しており、さらに『統合失調症』や『人格障害』にまでその範囲が広がりつつあると言われている。 【『否定的自動思考』を生む、個人の中の6つの思考パータン】 1 選択的な抽出 特定な情報のみを過大視して、全体の状況把握を失ってしまうこと。 《情報選択が偏ってしまう》 ※何か良くないことにこだわってくよくよ考え、他のことはすべて無視してしまい、現実を見る目が暗くなってしまう。ちょうど一滴のインクがコップ全体の水を黒くしてしまったり、サングラスをかけると、景色全体が色味がかってしまうので、「心のサングラス」ともいう。 2 独裁的推論 矛盾する証拠があるにもかかわらず、それを無視して、ある一定の結論にいっきに到達してしまう。 《結論の飛躍》 ※根拠もないのに、悲劇的な結論を出してしまう。 3 過剰な一般化 ある出来事をもとに、不合理なほどに一般化して物を考える。 《一般化のしすぎ》 ※一つ良くない出来事があると、「いつも決まってこうだ」と、世の中すべてが そうであると考える。 4 誇大視・過小視 一つのことを課題に評価して考えることと、これとは逆に、実際より極端に低く評価すること。 《過小評価・拡大解釈》 ※自分の短所や失敗を過大に考え、逆に長所や成功したことを過小評価する。 5 自己関連付け わずかな情報から、そのことが自分のことと関係があると思い込む。 《個人化》 ※何か良くないことが起こったとき、自分に責任がないような場合や、根拠や 理由がなくても、自分のせいにしてしまう。 6 絶対的2分化法思考 すべて白か黒かといった相互排除的カテゴリーで判断する傾向。 《全か無か思考》 ※物事を白か黒かのどちらかで考える思考法。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【考察】 私たちは、生まれてから大人になるまで、自分以外の存在、環境の中で生き抜いてゆく為に様々な“調整やチャレンジ”をしてきたと考えた時、生き抜くために身につけてきた色々な考え方、感じ方、行動のパターンは、100人いれば100通りあるのかもしれません。 そのパターンが、『今-ここ』からの人生にもう必要のないものであれば、勇気を持って変えるチャレンジは、意味のあることではないでしょうか。 過去と他人は直接的には変えられないとしても、自分とその未来は『今-ここ』からいつでも変えられるチャンスに満ちています。 その一歩を、その選択を応援しています・・・。 ≪参考文献≫ 松下正明総編集(1999) 臨床精神医学講座 第15巻 精神療法 中山書店 p273-285 氏原 寛 他編集(2004) 心理臨床大事典 改訂版 培風館 p374-378 ~もっと素敵な自分に会える~
|